エンジニアのブラックリスト 都市伝説なのか? 本当に存在するのか?

 フラン健史郎 | 2019/12/26 - 14:42
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    借金の返済が滞るなどすると「ブラックリストに載って、クレジットカードが作れなくなる」といった話をよく聞きますが、エンジニアの世界でも「ブラックリストがあって、それに登録されると現場に入りにくくなる」という噂があります。

    すでにエンジニアとして働いている人はもちろん、これからエンジニアとして働きたい人も気になりますよね。そこで、この噂の真相について、エンジニアの一人として調べた結果をみなさんにご連携いたします。

    エンジニアのブラックリストとは?

    エンジニアのブラックリストとは、冒頭でも書いた通り、「それに登録されると現場に入りにくくなる」という、SES会社や人材会社が作成・整備した要注意人物リストのようなものとされています。

    結論から言うと、私が調べた限りでは「エンジニアのブラックリスト」なるものを見つけることができませんでした。また、作成していると明言した担当者は誰もいませんでした。

    ただ、実態として、リスト化はされていないけれど、所属SES会社や人材会社の人事資料・人材情報に「この人、あの現場で、どういう理由でクレームを受けた」という記録は行われているそうです。こうした記録を行うのは、その人に指導を行ったり、あるいは“その現場の好みの人材”を知るためには必須のことですよね。

    そして、そうした資料から要注意人物リストを作ろうと思えば作れるし、実際に個人的な参考資料として作成している人はいるかもしれない、という話をしてくれた方はいらっしゃいました。

    ただし、そのような所属SES会社や人材会社の人事資料・人材情報は社外秘のデータなので、基本的には会社を超えて連携・共有されていないということでした。つまり、金融機関のブラックリストのようにA銀行でのローン返済遅延のせいで、B銀行でクレジットカードが発行できなくなる、といったことにはならないだろう、ということです。

    では、“C社で問題を起こしたならば、C社を辞めてD社に行けば良い”という話かというと、そうでもない気がします。

    IT業界自体は広いです。しかし、似たスキルセットを持っている人、もっといえば、似たような現場・案件が得意な人たちのつながりは、そこまで広くないので、「あの人、他の現場で出禁を食らって、あの現場に回されたんですよ」「あいつ退職して業界去ったと思ったら、同業他社に転職して、あそこのビルで仕事しているらしい」といった情報が、意外とシェアされています。

    そして、そういう情報を人材会社の担当者が知ってしまい、優良案件の紹介に躊躇する、といった事態になる可能性は十分にあります。そういう意味では、明示的なブラックリストはないですが、“ブラックリストがあると感じるような場面”は現実的にあると言えます。

    ブラックリストに載るエンジニアとは?

    ブラックリストに載るエンジニアとは?

    ブラックリストに載ってしまうと言いますか、“問題があると認定されるエンジニア”には二種類のタイプがいるように思います。

    それはずばり、クライアントから見て「こいつはない」と思われるタイプと、エンジニアチームを含めた所属元から見て「こいつはない」と思ってしまうタイプです。

    それぞれの実態をご紹介いたします。

    ①クライアントから見た問題エンジニア

    このタイプのエンジニアは一言でいうと、“人としてダメと思われた人”です。

    自分の知っている例だと、執務室の自席で昼寝していびきをかいていた、クライアントから土足厳禁と言われていた場所(機械室だったかな?)に土足で上がっていった、クライアントから貸与されていた端末で、通信を大量に使う業務に関係ないサイト(具体的にはニコニコ動画)を日がな一日見ていたため、業務通信に影響が出た、信号ではないところで道路を横断して周辺住民からクレームが入った、歩きたばこで周辺住民からクレームが入った、などなど、色々な話があります。

    さらには、隣の会議室にクライアントの担当者がいることに気が付かず、その人の悪口を言い続け、即刻、出禁になったという、もはや「その現場から抜けたくて、わざとやったんだろ?」とツッコみたくケースも知っています。

    本当にびっくりするくらい常識のない人たちがエンジニアとして働いているのです。

    もちろん、うっかりランサムウェア付きの添付ファイルを開けてしまい、クライアント企業に大損害を与えて、所属元からも半ば解雇状態となった方もいます。しかし、この手の業務上の過失でクライアントからクレームが入るという例は少ないです(このように大ごとになった場合、クレームが入る前に所属元が手を打つパターンも多い)。

    それよりも、“人としてダメだろ”というレベルの理由でクレームを受けて、現場から放り出されるエンジニアの方がはるかに多いのが実情です。

    ②所属元から見て問題エンジニア

    このタイプのエンジニアは一言でいうと“所属元にとって制御不能な人”です。

    SESにも関わらず、リーダーを通さすにクライアント担当と仲良くなって、勝手に仕事の範囲を広げてしまう人が、所属元の上層部の圧力によって、強制的にその現場から離脱させられたのを見たことがあります。

    「クライアント担当と良好な関係を築いているので良いことだよね。その人を現場に残しておいた方が良いじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、SESは企業間で“契約で行う範囲とその報酬”を取り交わす契約です。現場のエンジニアが、勝手にその内容を見直しして良いものではありません。

    しかも、仕事の範囲を広げた分、報酬も増えるのであれば、まだ良いですが、単純に「ついでにこれもお願いします」「良いですよ」と会話しただけで、報酬を増やす約束がされていないのであれば、文字通り“ただ働き”になってしまいます。

    こうした観点から、“その人を、この現場に置いておくと会社の運営上問題となる”と判断されたようで、半ば強引に異動となっていました。

    また、自分より年の若いクライアントの担当者に、ドキュメントレビューでボロボロに指摘されたのが気に食わなかったのか、そのクライアント担当者と口を利かなくなる(どうしても、やり取りが必要なときは、他の人に代わりに聞いてもらっていた)という人もいました。

    エンジニアとしての能力も、そこまで高くない、と評価されていたこともあり、クライアント側から正式なクレームが入って“企業間の問題”にしたくない、という所属元の判断から、速やかに、その現場から離脱させられていました。

    ブラックリストに載らないための対策

    一言でいえば、「ルールを守って、常識のある人になりましょう」という話だと思います。

    自分の所属元のルールを守り、クライアント企業の設備や備品を使わせてもらうにあたって、守るべきルールを守る。そして、一般常識として守るべき社会規範も守る。

    その当たり前ができずに問題エンジニア認定されている例が実に多いということを肝に銘じて、日々、正しく生きるということが重要だと思います。

    まとめ:ブラックリストの存在を証明できなかったけれど・・・

    繰り返しになりますが、今回、エンジニアのブラックリストがある、と明言した人に出会うことはできませんでした。

    しかし、過去に問題を起こした人物という記録が組織内に蓄積されるのは事実であり、意外と関係者内で情報が広まることがあるので、“ブラックリストに載っているのかな?” と不安に思う状況はあり得る、という結果になりました。

    でも、きちんと守るべきルールを守って仕事をしていれば、“問題のあるエンジニア”認定されることは少ないので、そこまで不安に思う必要はありません。

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