フリーランスが確定申告してないと結末はどうなる?

 フラン健史郎 | 2021/01/12 - 10:07
目次

    フリーランスの確定申告はサラリーマンと違う?

    確定申告とは、個々人の一年間(1月1日~12月31日)の収入(所得)を明らかにし、適切な納税額を決めるための作業です。

    年末調整だけ行って、確定申告に行かないサラリーマンの方は多いですが、フリーランスの方は基本的には絶対に確定申告に行く必要があります。

    「サラリーマンは確定申告に行かなくても良いのに、なんでフリーランスは行く必要があるの?」と思った方も多いと思うので、そのからくりをお教えしましょう。

    年末調整はフリーランスもサラリーマンも必要

    そもそも、年末調整ってなんのためにあるかですが、簡単に言うと、源泉徴収税を整理するためにあります。

    毎月の給与やボーナスから天引きされる源泉徴収税は、会社が国の代わりに社員の給与から税金を徴収して、国に納めるものになります。

    ただし、ここで支払われる源泉徴収税は、毎月の給与やボーナスの金額から仮決めしたもので、通常、実際に支払うべき税金より、いくらか多めに取りがちです。

    そして、一年間の年収(給与やボーナスという形で会社が社員に支給した金額)がはっきりとする年末に、正しい納税額を再計算し、源泉徴収として取り過ぎた分は、お返しするよ、というのが年末調整の役割となります。

    サラリーマンは確定申告しないでもOK、フリーランスは確定申告が必要

    サラリーマンは個々人で確定申告しない理由は、会社によって納税額の計算や納税を行ってくれているから、という訳です。

    一方の会社に属さないフリーランスは、当然、会社が納税額の計算や納税を行ってくれる仕組みがないので、自ら確定申告を行うしかないのです。

    サラリーマンとフリーランスの『年末調整と確定申告』

    混同してしまいがちな「年末調整」と「確定申告」ですが、ここで一度2つの違いを比較してみましょう。

    サラリーマンの年末調整 フリーランスの確定申告
    役割 税金の再計算 収入や所得の申告
    提出書類 ・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 ・給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書 ・確定申告書 ・青色申告決算書 ・各種控除関係の書類 ・源泉徴収票 など
    国に税金を納める人 会社 フリーランス自身
    問い合わせ先 会社(総務部) 所轄の税務署
    実施タイミング 11月〜12月ごろ 2月16日〜3月15日まで
    メリット 作業量が少ない 節税で税金を減らせる
    デメリット 強制的に税金が決まる 作業量が多い

    年末調整は、サラリーマンの給料から毎月天引きされている税金の過不足がないかを確認し、多ければ還付、少なければ追納する作業です。一方の確定申告は、「今年はこれだけの所得がありましたよ」と税務署に伝える作業となります。

    年末調整は、社員から預かった税金を会社が代理で一括納付するのに対し、確定申告はフリーランス自身が税務署に足を運ぶ必要がある点などに違いがあります。

    フリーランスも確定申告をしなくてもOKな場合がある!

    確定申告しないでもOKな場合とは?

    ただし、全てのフリーランスが確定申告を行う必要があるとはいえません。

    どういった場合は、確定申告しないでも良いか、ご紹介いたします。

    それはずばり、フリーランスであっても源泉徴収される報酬しか受け取っていない場合です。

    具体的にいえば、弁護士や司法書士など士業の方への報酬や、デザイナーやライターのクリエィティブな成果物(デザイン料や原稿料など)に対してはクライアント側で源泉徴収を行う必要があり、源泉徴収されている、つまり納税済みなので、改めて確定申告を行う必要がありません。

    確定申告しないでもOK、けれども確定申告したほうがお得!?

    ただし、すでにお伝えした通り、源泉徴収税はその報酬ベースで、納税額を仮決めしたもので、実際に支払うべき税金より、いくらか多めに取りがちです。

    ですので、確かに確定申告に行く必要はありませんが、確定申告に行った方がお得となる場合が多いです。

    確定申告に行く際は、クライアント企業から源泉徴収票を受け取りましょう。

    なお、Webデザインを決めることは源泉徴収されるべき報酬ですが、そのWebデザインを実現したWebサイトを作ること、もっと言うと、CSSやHTMLのコードを作ってクライアントのために提供することへの報酬は源泉徴収されない報酬となります。

    この微妙な違いがわからないまま、確定申告に行かずに、督促状を貰う羽目になっているWebデザイナーが多いので、要注意です。

    悩むくらいなら、事前にクライアントに対して「この報酬って、源泉徴収されます?」って聞いてしまうのも手かもしれません。

    少々、カッコ悪いかもしれませんが、後で督促状を受け取るより、ずっと良いです。

    20万円以下報酬は確定申告しないでもOKというのはフリーランスには適用外!

    ちなみに、よく勘違いされていますが、クライアント一社から受け取った1年間の報酬が20万円を下回っている場合は、確定申告しなくて良い、というルールはサラリーマン(給与所得者)に適用されるルールです、

    本業とは別にフリーランス活動をしている副業フリーランサーには、このルールが適用されますが、脱サラしたフリーランサーには、このルールは適用されません。

    フリーランスが「確定申告をしない」と督促状が届く!?

    確定申告しない=脱税!

    どう言い訳しても、「納税するべき収入があるのに、確定申告に行かず納税しなかった」という事実は変わりませんから、“所得隠しによる脱税”として、経済的なペナルティーは避けられませんし、最悪の場合、法的なペナルティーを与えられることもありえます。

    税務署は税務調査という形で、本当に正しい申告内容だったか、確定申告後に調査する仕組みを整えています。

    ここで「あれこの人、変だよね」というのが発覚した場合、税務署はその人の家や、その人の代理として確定申告を行った税理士に対して、督促状を送るなどして、連絡を取ろうとします。

    連絡が来たら無視せず税務署に出向くなどして、事情の説明や相談を行い、必要に応じて申告内容の修正を行いましょう。

    確定申告しない場合、脱税で逮捕されるのか?

    基本的には、税務署の職員には脱税者を逮捕して刑事罰を与える権限がなく、正しい税金を納めてもらうことが仕事です。

    督促状が来たからと言って、必要以上にびくびくしなくても大丈夫です。

    よく、ドラマなどで見る“マルサ”は国税局査察部と言い、彼らは確かに警察ではありませんが、悪質な脱税者を調査し逮捕する権限が付与されていますが、よほど悪質でなければ、フリーランスや個人事業主に対して行動しません。

    だからと言って、督促状を無視しても良いか、というと、それはまた別の話です。

    怖い話

    確定申告の督促状を無視すると、ペナルティーが重くなる

    確定申告を正しく行わず、脱税を行った人に対するペナルティーとして加算税(過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税)が課されますが、当然、すぐに行動した人に対して、動きが悪い人の方が、より重くなるでしょう。

    さらに恐ろしいのは、税金にも延滞税という形で利子がつくということです。

    滞納期間が長ければ長いほど、後々、納税するべき金額が膨らんでいくのです。

    もっとも上記の話は、確定申告で納税するべき税金の計算を行った結果、納税額があった場合に限った話です。

    逆に、納税するべき税金の計算を行った結果、税金の支払いが不要と言う結論に至ったり、あるいは保険料支払いなどの関係で、むしろ還付金が発生する、というパターンも極めて稀ですが発生するときもあります。

    この場合、「次から確定申告忘れないでくださいね」と言われるだけで、ペナルティーはありません。

    かといって、還付金に利子が付いて増えるといったような、お得なこともありません。

    確定申告をしないと、どれだけ損する?事例を紹介!

    確定申告をせずに損するケース その①

    確定申告は、「白色申告」と「青色申告」のいずれかを選択して行うことができます。白色と青色の違いはいくつかありますが、もっとも重要なのは「65万円の所得控除が使えるかどうか」にあります。

    所得控除というのは、税金計算のもとになる所得を減らしてあげますよという仕組みのこと。たとえばその年に100万円稼いだAさんとBさんがいたとします。税率が20%だったとして、白色申告で確定申告したAさんは(100×20%=)20万円の税金を納めることになります。

    一方の青色申告で65万円分の所得控除を受けたBさんは、((100-65)×20%=)7万円の税金ですむということになります。

    このケースの場合でも、青色申告を選択して確定申告しないと、13万円損してしまうことがわかります。「確定申告=税金が増える」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そうとは限らないのです。

    確定申告をせずに損するケース その②

    フリーランス1年目には、パソコンの購入費や事務所の開設費用などにより、最終的な収支がマイナスになってしまうことも珍しくありません。所得がマイナスであれば税金は非課税となりますが、実は青色申告の「純損失の繰越し控除」という制度を使うと、翌年以降の税金を減らすことができるのです。

    純損失の繰越し控除というのは、今年発生した赤字を、今後3年間の黒字と相殺できる制度。

    たとえば1年目に90万円の赤字が出て、2年目以降は3期連続で30万円の黒字が発生したとしましょう。税率を仮に20%とすると、1年目は税金ゼロ、2年目以降は6万円の納税額が発生する計算です。

    これが純損失の繰越し控除を使うことで、2年目、3年目、4年目の税金をゼロにすることができるのです。トータルで18万円の得になりますので、「今年は赤字だから確定申告しなくてもいいや」というのは、非常にもったいないことなのです。

    確定申告をせずに損するケース その③

    フリーランスで仕事を請け負っている際にも、取引先から「源泉徴収」されることがあります。あらかじめ税金を差し引いた金額で報酬を支払ってもらう、サラリーマンの給料と似たような仕組みですね。

    この源泉徴収は税金の前払いという性質がありますが、最終的にその年の所得がゼロだったりマイナスだったりした場合、この源泉徴収で差し引かれた金額が丸々戻ってくることがあります。これが税金の「還付」と呼ばれるものですね。

    税金の還付は、自動的にもらえるものではありません。確定申告をすませて、「今年は所得がゼロだったので、源泉徴収税を返してくださいね」などと税務署に伝えてはじめて振り込まれるものなのです。

    フリーランスが確定申告しないで催促状が届いたときに取るべき行動は?

    確定申告を忘れた場合の適切な対処法としては、気が付いた時点で、速やかに税務署に相談すること、それに尽きると思います。

    自首と同じで、督促状が届くより早く、確定申告を行い忘れており、脱税状態であることを税務署に自分から申し出た場合は、督促状を受けて確定申告に来た人より、ペナルティーが軽減されます。

    また、すでにお伝えした通り、延滞税という形で納付するべき税金に利子が付くので、速やかに対応しておいた方が経済的な負担も小さく済みます。

    催促状が届くのをドキドキするくらいなら、確定申告してしまおう!

    それに“いつ督促状が来るだろう。結局、いくら払うことになるのだろう”とずっと、ドキドキし続けるのも嫌ではありませんか?

    後顧の憂いを断つ意味でも、気が付いた時点で、手を打つに限ります。

    まとめ:確定申告をしない“報酬隠し”はやめたほうがよい!

    今回は、確定申告について、見ていきました。

    フリーランスの方たちをみていると、確定申告しない方がお得では、と思っている方も中にはいらっしゃるようですが、まったくそうではありません。

    税的控除を受けるためには確定申告を行うことが前提になりますし、税務調査ではクライアント企業や取引さ先の銀行にまで調査の手が伸びるので、一個人ではどうやったって“報酬隠し”なんてことはできません。

    下手な浅知恵を張り巡らすと、発覚時に加算税の税率が高くなるだけです。

    フリーランスになった代償ということ語弊がありますが、フリーランスという働き方をする以上、避けて通れぬ道だと思って、めんどくさがらずに確定申告を行いましょう。

    もちろん、税理士の力を借りても問題ありません。

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