Salesforceの資格を徹底解説 難易度は高い?

目次
2018年現在、世界でもっとシェアの高い顧客関係管理(CRM)システムであるSalesforce。実は、Salesforceでは、ユーザーや開発者を対象にした資格試験を実施しています。今回は、そんなSalesforceの資格をご紹介したいと思います。
そもそもSalesforceってなに?
ところで、みなさんSalesforceを使ったことはありますか? CRMシステム自体、あまりITエンジニアがユーザーとして利用するものではないので「名前くらいは知っているけれど、使ったことはない」という方のほうが多いように思います。
CRMシステムとは、簡単にいうと商談や案件の状況や顧客の行動原理などを分析し、よりよい営業活動に結びつけようとするためのシステムです。このような、CRMシステム自体は目新しいものではないですが、Salesforceはある重要な革命を起こしたことで、2018年時点では世界でもっともシェア率の高いCRMシステムとなっています。
Salesforceが起こした革命とは、クラウドサービスサービス(Software as a Service、いわゆるSaaS)の登場です。クラウドサービスといえば、AWSこと、Amazon Web Serviceが有名ですが、世界初のクラウドサービスはSalesforceだと言われています。
クラウドであるSalesforceは、月額制となっており、導入コストが低く抑えられ、さらに利用企業側で独自の機能を開発し、拡張することができるメリットがあります。他の企業からも、Salesforceと同じようなメリットを持つクラウド型CRMシステムが登場していますが、先行者利益もあり、Salesforceの一人勝ちと言える状態です。
Salesforceの基本資格は大きく3つ
Salesforceの資格についてまず基本資格から見ていきましょう。現在、Salesforceの基本資格は公式サイトに従うと、CRM管理者/コンサルタント、開発者/アーキテクト、マーケター/コンサルタントの3つに分かれます。それぞれ見ていきましょう。
CRM管理者/コンサルタント
まず、CRM管理者/コンサルタントについてです。CRM管理者/コンサルトの基本資格は認定アドミニストレーター、認定CPQスペシャリストがあります。
Salesforce 認定アドミニストレーター試験では、Salesforce CRM システム管理者を認定します。Salesforce 組織のメンテナンスや、業務要件に基づいた管理機能を実行できる能力が求められます。また、Salesforce 認定 CPQ スペシャリスト試験では、バンドル設定、価格設定、出力ドキュメント、更新および修正を構築できるスペシャリストとして認定します。
開発者/アーキテクト
続いて、開発者/アーキテクトについてです。開発者/アーキテクトとしての基本資格は、認定Platformアプリケーションビルダー、認定Platformデベロッパー、認定Date Architecture and Managementデザイナー、認定Sharing and Visbilityデザイナー、認定Development Lifecycle and Deploymentデザイナー、認定Identity and Access Managementデザイナー、認定Integration Architectureデザイナー、認定Mobile Solution Architecureデザイナー、認定Commerce Cloud Digitalデベロッパーがあります。
マーケター/コンサルタント
最後に、マーケター/コンサルタントは、認定Pardotスペシャリスト、認定Marketing Cloudメールスペシャリスト、認定Marketing Cloudso-syarソーシャルスペシャリストといった資格に分かれています。
ITエンジニア向けの資格という意味では「開発者/アーキテクト」の分類に属する「認定Platformデベロッパー」や「認定Platformアプリケーションビルダー」あたりが順当な候補ですが、所属する会社や組織の業務範囲などによっては「CRM管理者」の分類に属するものを受けた方がいいこともあるでしょう。
上位資格について
Salesforceの資格試験には“格付け”があり「基本資格」とされているものは、誰でも受けられますが、「上位資格」は特定の「基本資格」に合格していることが前提です。
こちらもCRM管理者/コンサルタント、開発者/アーキテクト、マーケター/コンサルタントの3つに分かれています。
▼CRM管理者/コンサルタント
CRM管理者/コンサルタントに関しては、基本資格にある認定アドミニストレーター試験の上位資格が認定上級アドミニストレーター、認定Sales Cloudコンサルタント、認定Service Clpudコンサルタント、認定Community Cloudコンサルタントです。
認定Service Clpudコンサルタントには更にField Service Lightning コンサルタントという上位資格があります。
▼開発者/アーキテクト
また、開発者/アーキテクトに関しては基本資格にある認定Platformアプリケーションビルダー、認定Platformデベロッパー、認定Date Architecture and Managementデザイナー、認定Sharing and Visbilityデザイナーの上位資格が認定アプリケーションアーキテクトにあたります。
基本資格にある認定Development Lifecycle and Deploymentデザイナー、認定Identity and Access Managementデザイナー、認定Integration Architectureデザイナーの上位資格が認定システムアーキテクトにあたります。
そして、基本資格にある認定アプリケーションアーキテクトと、認定システムアーキテクトの上位資格が、認定テクニカルアーキテクトにあたります。
▼マーケター/コンサルタント
マーケター/コンサルタントに関しては基本資格にある認定Pardotスペシャリストの上位資格が認定Pardotコンサルタント、認定Marketing Cloudメールスペシャリストの上位資格が認定Marketing Cloudコンサルタントにあたります。
「認定テクニカルアーキテクト」の人数ですが、2019年7月時点では、全世界で約240名、日本では13名しかいないそうです。
Salesforceの資格を取得する難易度は?
他の会社が実施するベンダー試験にも言えることですが、Salesforceの資格試験は、Salesforceユーザー、開発者をターゲットにしているものです。実務経験のない方にとっては、用語がわからず、なにを問われているのかもわからない、という事態になりがちです。
実際、Salesforceの公式ドキュメントでも、各「基本資格」を受ける方には“1年から2年の業務経験があること”と“出題範囲になる製品やサービス、開発言語の経験があること”、各「上位資格」を受ける方には“2年から4年の業務経験があること”と“出題範囲になる製品やサービス、開発言語の経験があること”が望ましいとされています。
人によって、業務経験の“密度”が異なるので、必ず2年程度の業務経験で取れるわけではないと思いますが、「基本資格」は情報処理試験で言うところの基本情報技術者試験のようなもので、「3年仕事をしていて、通らないのは才能がない」と言われるレベルの試験と考えていいかと思います。
対して、「上位資格」は、“2年から4年の業務経験があること”ですが、「基本資格」より専門性も高まるため、「基本資格」よりもだいぶと難易度が上がるようです。
Salesforceの資格を取得するための効率的な勉強方法について
Salesforceの資格試験勉強をするうえで、一番の問題になるのは、試験対策用の参考書や問題集の類が極端に少ないという点です。少なくとも書籍は存在しないように思います。
書籍がない以上、周りの受験経験者やインターネットで、どういう問題が出たのか、なにを問われるのか情報収集するしかありません。しかも、そのような“口コミ”レベルの情報もあまり多くありません。学習プランが立てにくい、という意味で非常に勉強が難しい資格試験と言えるでしょう。
「ネットで調べたけれど、よくわからなかったし、周りに相談できる人もいない」という方は、“一度、ダメ元で受けてみる”のも手のように思います。
問題を解くというよりも、どういう問題が出てきたのか、どんな用語が使われていたのかを確認することで、なにを勉強すればいいか方向性が見えてくるはずです。それから本格的な学習をはじめるのもアリです。たしかに受験料が無駄になってしまいますが、間違った口コミから、出題範囲や傾向を見誤った状態で学習するよりも効率がいいでしょう。
実際の学習ですが、Salesforceの資格試験は、基本的には“実技”だそうなので、実際に製品を操作してみることが重要です。わざわざ個人で契約したいものではないかもしれませんが、業務の中だけでは不十分だと感じた場合は、無償トライアルを活用するなどして、触れる機会を増やすようにしましょう。
Salesforceの資格の価値は?メリットはあるの?
結局、Salesforceの資格を取る意味があるの?というところですが、Salesforceのシェアが海外でも日本国内でも非常に高いことから、資格としての価値は高いと言えるでしょう。また資格を持っていることで、顧客から信頼されやすいというメリットもあります。
ITエンジニアの転職市場においても、Salesforce専門、専門とまではいかなくても得意とする開発会社(ソフトウェアハウス)が増えており、「基本資格」一つでも強力な武器になることが予想されます。
ただ、まだまだ国内の転職市場では「Salesforceの資格必須」というところは少ないでしょう。一般化していないからこそ、他人と差別化できるという考え方もあると思います。しかし、CiscoやOracleなど他のベンダーが行っている資格試験の方が、転職市場での価値は高いのかな、というのが率直な印象です。
ちなみに、Salesforceによると世界でも240人ほどしかいない認定テクニカルアーキテクトの平均年収は、約15万ドル(日本円にすると約1600万円)とのことですから、たしかに高年収を狙える資格と言えるでしょう。
まとめ:Salesforceに触れていない人には難しい
繰り返しになりますが、ベンダーが行う資格試験は、そのベンダー製品を扱っていない方にとっては、難しいものになります。これはSalesforceにも当てはまるものです。しかも、Salesforceの資格試験はマイナーではないのに、イマイチ、情報量が少ないという変わった特徴があります。
数年の実務経験があり、周りにすでに受けた方がいる“恵まれた”環境であれば「基本資格」レベルであれば、それほど苦労しないと思われます。しかし、独学で合格を目指す方など“恵まれていない”環境だと、非常に苦労する資格試験です。
においても、Salesforceを得意とする開発会社が増えており、「基本資格」一つでも強力な武器になることが予想されます。
Salesforceの資格についてよくある質問
Salesforceの資格についてよくある質問を3つまとめました。
そもそもSalesforceってなに?そもそもSalesforceってなに?
Salesforceとは世界でもっとシェアの高い顧客関係管理(CRM)システムです。Salesforceは世界初のクラウドサービス型CRMシステムで、月額制となっているため導入コストを低く抑えられます。さらに利用企業側で独自の機能を開発し、拡張できるメリットがあります。
Salesforceの公式資格とは?
Salesforceの資格は公式サイトに従うと「CRM管理者/コンサルタント:Salesforce製品の導入や設定など管理者のための資格試験」「開発者/アーキテクト:Salesforceの機能開発者のための資格試験」「EinsteinAnalytics:SalesforceのAIサービスで、AIを使ったデータサイエンティストのための資格試験」「マーケター/コンサルタント:PardotというBusinesstoBusiness(BtoB、B2B)用製品など、サービスを活用者するメンバーのための資格試験」の4つの分類があります。
Salesforceの資格の価値は?メリットはあるの?
Salesforceのシェアが海外でも日本国内でも非常に高いことから、資格としての価値は高いと言えるでしょう。また資格を持っていることで、顧客から信頼されやすいというメリットもあります。ITエンジニアの転職市場においても、Salesforceを得意とする開発会社が増えており、「基本資格」一つでも強力な武器になることが予想されます。