『2025年の崖』でエンジニア市場は変わる?エンジニアデビューは今がチャンス!
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2025年の崖というものを、みなさんご存じでしょうか?IT業界はもちろん、非IT企業を含めた日本企業の課題として、非常に大きなインパクトを持って報道されたため、見聞きしたことのある方も多いでしょう。
そして、この2025年の崖で変化を求められるのは企業だけでなく、そこで働くエンジニアにも及びます。そこで今回は、2025年の崖で、どのような未来が出現するか予測してみたいと思います。
『2025年の崖』とは
2025年の崖とは、2025年の日本を予想したときに想定される、さまざまな課題のことです。経済産業省の文書にて、2018年9月7日に指摘されました。
参考:『DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』
デジタル化社会で企業が生き残るためにどうすれば良いか、という趣旨で作成された報告書ですが、ITの観点から、主だったものとして以下の四点が課題として挙げられています。
- 20年以上稼働している基幹系システムが6割を超過
- 日本国内で約3000社がつかっているとされる、ERP(企業資源計画)パッケージの『SAP REP』のサポート終了
- 約43万人のIT人材不足(先端IT人材、レガシーシステムを知る人材の両方が不足する)
- 従来ITサービス(SI)市場とデジタル市場の比率が、2017年時点では9対1から6対4へと変わる
結局のところ、「既存のITシステムを更新しないとダメだけど、必要なスキルを持つ人材が足りていない」問題が、2025年にはクリティカルに企業の存続にダメージを与えるレベルになるまで拡大する、ということが謳われています。
なお、この報告書には記載がありませんが、昭和→平成→令和とシステム上の和暦を更新していない場合、2025年は昭和100年となってしまうため、いわゆる『昭和100年問題』の懸念も存在します。
※昭和100年問題:和暦は二桁でしか管理ができないシステムの場合、昭和100年を昭和0年と認識してしまい、バグを引き起こす可能性がある問題。一昔前にあった、2000年問題とロジックは同じです。
さらに言えば、「人材の2025年問題」というのもあります。これは、いわゆる団塊の世代が75 歳以上に、そして、団塊ジュニア世代が50歳以上になる問題です。レガシーシステムを知る人材が、本当に現場からいなくなってしまうことが考えられます。
このように、2025年はITシステム、ITシステムを持つ企業、そしてITシステムに関わるシステムエンジニアにとって、非常に重要な意味を持つ年になるのです。
2025年の崖によって何が起こる?
2025年の崖によって生じる具体的な事象や、今注目されていくであろう技術などについて詳しく解説していきます。
システム更改案件を中心に求人市場がさらに活発化していく
繰り返しになりますが、2025年の崖とは「既存のITシステムを更新しないとダメだけど、必要なスキルを持つ人材が足りていない」問題です。逆に言えば、企業は自社の古くて更新が必要なITシステムを更新したり、見直しするのに必要なエンジニアが必要になっている、ということでもあります。
日本国内でも多くの会社が使っているERPパッケージの『SAP REP』のサポートは2025年に終了。また『昭和100年問題』も2025年になる前に、システム上の和暦が昭和になっているシステムをなくす必要があります。
そのため、2020年以降、特に2025年の2〜3年前から、システム更改案件が増え、エンジニア人材市場が活発化する可能性が極めて高いです。
非IT企業のIT部門やデジタル部門が強化される
『DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』でも指摘されている通り、日本の非IT企業でシステム更新が進まないのは、多くの企業がベンダー(IT企業)任せになっているのも一因です。
いつサポートが切れるのかを、あまり意識していなかったり、システムに触れることのできる人材がおらず、なにをどう更新すれば良いのかも、よくわかっていない、という会社も少なくありません。結果として、システムを「使えているので、使い続けている」会社が多くなっています。
その対策として、システムの内製化、つまりベンダーに頼らず自社でエンジニアを抱えてシステム開発・保守を行ったり、ベンダーとともにジョイント・ベンチャーを設立するなど、積極的に関与していく選択肢を『DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』では提示しています。
こうした対策を実現するため、今後、会社にシステムのことが分かるエンジニアを抱えようという動きが出てくるかもしれません。
また、「デジタル化=IT化」ではありませんが、IT抜きでデジタルを語ることはできません。デジタル企画部など、社内のデジタル化を推進する部門を強化する場合も、エンジニアなどIT人材は有効です。
2025年に向けて、企業のエンジニアニーズが高まる可能性も高いです。
技術力の高いエンジニアと低いエンジニアの格差が拡大する
エンジニアが不足しているので、総じてエンジニアの報酬がアップすると考えられます。
しかし、どこの企業も欲しいと思う“スーパーマンのようなエンジニア”の待遇や報酬がさらに高まる一方で、そうではないエンジニアの待遇や報酬は、それほど上がらない可能性も、もちろん存在します。企業の財布だって無尽蔵ではありませんから、“一部のエリートが富を独占する”といった未来も当然ありえます。
2025年になると、AIやRPAなどの自動化技術がシステム開発や保守にも利用されていると思われますから、技術力が低く作業者レベルの人は、少なくても良い、という会社も増えているかもしれません。
あるいは、“できる人”の集まりであることが求められるアジャイル開発が主流となって、ITスキルのない業界未経験者は好まれない未来も可能性としては否定できません。
今後注目されていく技術とは
特に注目されているのが、AIやRPAなどの自動化技術です。単純作業から人間を解放し、より付加価値の高い仕事に従事させて、会社の生産性を上げたいと考えている企業が多いです。自動化技術は今後も継続して求められるでしょう。
また、Java(厳密にはOracle JDK)の有償化が話題になった時期もありましたが、PythonやJVM言語など、新世代のプログラミング言語と、昔からある言語、C言語やPL/I、Cobolの両方を知っている方は、システム更改や、昭和100年問題対応などで重宝されるでしょう。
インフラ側だと、仮想化、クラウドの二つが、引き続きキーワードになっていくと思われます。
どのような視点で考えるかによりますが、私の感覚では、仮想化とクラウドは、「データセンターをどうデザインするか」「サービス提供基盤をどうしていくか」という意味では同じテーマの技術です。
そして、今後、IoTが最重要のトピックとなるのは間違いありません。こちらに関連して、ここ数年で5G、HTTP/3などネットワーク関連の技術が次々と登場しています。このことによってシステム開発がどう変わるのか、なにを意識する必要があるのかは、すべてのエンジニアが知っておくべき知識となります。
まとめ
2025年前後で、IT業界、エンジニアの働き方や人材市場に変化が起きることをご理解いただけたでしょうか。エンジニア志望の方、あるいはエンジニアとしてキャリアアップしたい方は、2025年になった時を意識して、今のうちに、業界デビューを果たしたり、新たな技術の学習を始めてみてはどうでしょうか。
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