Unityエンジニアの需要と将来性は?【年収や求人情報についても紹介します】
目次
Unityはプログラミング言語ではありません。C#やJavaScriptなどの言語エンジニアが使う、数あるフレームワークのうちのひとつです。フレームワークはいわば「便利グッズ」なので、普通は「〇〇フレームワークエンジニア」という言い方はしません。「エンジニア」の前につけるのは大抵は言語で、例えば「C#エンジニア」「PHPエンジニア」といったように使います。「C#エンジニア」といえば「C#言語で仕事をしている人」のことです。
しかしUnityを自由自在に操ることができる人は「Unityエンジニア」と呼ばれ、「Unityで仕事をしている人」です。それくらいUnityは強烈な存在感があるのです。Unityがこれほど注目されているのは、ゲーム開発に強いからです。3Dゲームを開発するには、Unityスキルの獲得は必須です。
そしてUnityが注目されているのにはもう1つの理由があります。それは産業分野がUnityの表現力を必要としていることです。そのため、Unity案件は、さまざまな業界・分野に存在します。将来フリーランスになりたいと考えているエンジニアは、今からUnityを習得しておくと、独立後の案件確保に苦労しないかもしれません。
Unityの特徴とは
Unityは、もともと3Dゲームの開発を目的に設計されました。3Dゲームのプログラミングは、2Dゲームに比べてはるかに複雑で、高度な技術が求められます。しかし、Unityにはゲーム制作に必要な機能や表現が一通り揃っており、3Dゲーム開発は特別なものから、一般的な存在へと変わりました。
さらに、Unityを活用した3D開発技術は、ゲームの枠を超えて、さまざまな業界でも利用されるようになっています。
直感的に操作できるエディタや、豊富な素材がそろうアセットストアにより、プログラミング初心者でも取り組みやすい点も大きな魅力です。
Unityの強み
Unityが他のゲーム用フレームワークと異なるのは、Unityだけでゲームを実行できる点です。この特性によってゲームづくりのコストが大幅に減り、ゲーム会社がこぞってUnityを使うようになりました。これはUnityの明確な強みといえます。
Unityで開発されたゲームには、「白猫プロジェクト」(株式会社コロプラ)、「ポコパン」(LINE株式会社)、「ファイナルファンタジーアギト」(株式会社スクウェア・エニックス)などがあります。ゲームのエンターテインメント性が向上し、ゲームファンをより深く魅了できるようになったのです。
さらにUnityはPS4やXboxなどの家庭用ゲーム機向けゲームだけでなく、AndroidやiOSに対応しているのでスマホ向けゲームをつくることができます。まさに「ゲームならUnity」なのです。
そして、次に紹介する内容こそが、Unityの最大の強みかもしれません。
3Dゲームの機能と表現力を磨き続けた結果、Unityは産業界での使用に耐えうるまでに成長したのです。
ゲームは2D(2次元)のレベルではファンタジーやフィクションの域にとどまっていましたが、3D(立体)の描写を得たことでリアル世界との境目がなくなりました。 例えば3Dサッカーゲームは、本物のサッカーの試合さながらのリアルな動画をつくっています。
また電車ゲームや飛行機ゲームの3D技術は、鉄道会社や航空会社が訓練で使う操縦シミュレーターに応用できます。
さらに、住宅会社が3Dゲームの空間を自由自在に移動する機能を使えば、ヴァーチャル・モデルルームをつくることができます。
複雑な形状の物体をほとんど誤差なく3Dで再現できる表現力は、医師向け手術シミュレーターに活かすことができます。
このようにフリーランスのUnityエンジニアは、ゲーム界だけでなく、映像分野、鉄道業界、航空業界、不動産業界、医療機器業界でも活躍できるのです。
Unityにおける注意点
UnityはC#やJavaScriptなどの言語で動くと紹介しましたが、現在はほぼC#しか使えなくなっています。
したがってフリーランスのJavaScriptエンジニアが、今後3Dゲームの案件を増やしたい場合、2つめの言語としてはC#を選択したほうがいいでしょう。
Unityエンジニアは人数が多く、競争が激しい分野として知られています。
その背景には、Unityのスキルは比較的習得しやすく、特にC#の習得よりも難易度が低いと考えられていることがあります。そのため、参入障壁が低く、多くの人がUnityエンジニアを目指しやすい環境となっています。
Unityは、一定のスキルがあるエンジニアなら誰でも3Dゲームをつくれるようにデザインされており、C#エンジニアがライバルとの差別化を図るためにUnityを獲得することは比較的容易です。
フリーランスのUnityエンジニアはUnityを操れるだけでなく、Unityを使ってできることを数多く持っておいたほうがいいでしょう。
Unityエンジニアの需要
結論から言うと、Unityエンジニアの需要は今後も伸びていくでしょう。
Unityエンジニアが最も活躍しているのは、やはりゲーム業界です。多くのスマートフォンゲームや家庭用ゲームの開発において、Unityは主要な開発環境として採用されています。
さらに医療や教育など、ゲーム以外の業界でもUnityの活用が進んでおり、Unityエンジニアが活躍できる場はますます広がっています。
ゲーム業界
ゲームはオンライン化してスマホでも手軽に楽しめるようになったことで、爆発的に拡大しました。さらにアニメキャラクターとコラボしたゲームも開発されており、アニメファンの取り込みにも成功しました。
また「ゲームは無駄な娯楽」と考える世代がビジネスの世界から引退しつつある一方で、「ゲームは娯楽手法」と考える層が社会の中枢を担うようになり、ゲームに対する社会的見方も変化しています。
さらに近年では、対戦型ゲームをスポーツとして捉えるeスポーツが人気になっており、ビジネス的な側面からもゲームに対する注目のされ方が変化してきているのも事実です。
VR業界
VRとは、ユーザーがヘッドマウントディスプレイを装着し、仮想空間を体験するツールです。頭を動かせば、ヘッドマウントディスプレイ内の画像も動きます。VRが生み出す没入感は、ビジュアル技術の極みといえます。
VRで展開するコンテンツの製作にはUnityのスキルが欠かせません。
ファッション業界、住宅業界、旅行業界、エンターテインメント業界──あらゆる分野で、VRを活用すればユーザーや潜在顧客に、実体験に近い疑似体験を提供することが可能になります。つまり、VRはほぼすべての業界のマーケティングに応用することができます。
また、VRシミュレーションは教育や研修の場面でも大きな効果を発揮します。たとえば、新人スタッフがベテランの技術を効率的に学ぶためのトレーニングに活用すれば、失敗を恐れることなく何度も繰り返し練習でき、ストレスの少ないスキルアップが可能になります。
このように、Unityを使ってVRコンテンツを開発できるエンジニアは、VRが導入されるあらゆる業界で活躍の場が広がっているのです。
医療業界
先ほどVR技術はほぼ全ての業界で活用されると説明しましたが、ここではVR技術を使った医療教育を取り上げてみます。術室常設型VRライブ配信システム「オペクラウドVR」は、2020年に国立研究開発法人国立がん研究センター東病院に導入され、2022年には日本救急看護学会の研修教材としても採用されました。 開発を手がけたのは、医療・福祉分野におけるVRサービスを提供する株式会社ジョリーグッドです。
このシステムでは、術室に常設された高精度な360度VRカメラを通じて、熟練医師の手技だけでなく、第一助手、ベテラン看護師、メディカルエンジニアなど治療現場に関わる専門スタッフの視野をリアルタイムでライブ配信します。それと同時に、その映像はクラウド上に蓄積・管理されます(ジョリーグッド公式サイトより)。
VRコンテンツは、ヘッドマウントディスプレイとPCがあれば、場所を問わずに体験可能です。これまで限られた人しか学ぶことができなかった「名医の手技」や「ベテラン医療スタッフのスキル」を、現場にいなくても学べる環境が整いつつあります。
このように、Unityエンジニアが生み出すリアルな3Dの世界は、単なるエンターテインメントにとどまらず、医療現場における学習や命を救う技術としても大きな役割を果たしています。
Unityエンジニアの募集要項のトレンド:統括業務が求められる理由とその魅力
Unityエンジニアは、どのようなポジションで働くことが求められているのでしょうか。案件票の募集要項などを参考に、Unityエンジニアの働き方のトレンドを探っていきます。
統括業務ができると重宝される
統括業務のポジションに就くことができるUnityエンジニアは高給で迎えられます。なぜならUnityエンジニアの多くはゲームづくりに専念したいと考え、「統括業務なんて面倒」と考えてしまう傾向にあるからです。当然、プロジェクトにはエンジニアをまとめる統括リーダーの存在が不可欠となります。
しかし、だからといって統括業務だけが得意な人では、ゲーム業界の独特な雰囲気を理解できず、現場とのズレが生じてしまいます。
そこで「ゲームマインド」を持ちながら、作業工程全体を俯瞰でき、クライアントと交渉できたり、エンジニアたちのフォローができたりするUnityエンジニアが求められるのです。
統括ポジションの仕事内容
ゲームづくりでの統括業務には次のようなものがあります。
- 工程管理
- メンバーのスケジュール管理
- 技術的なサポート
- 工数の見積もり
- クライアントとの打ち合わせ
実際にこのような仕事をしたことがあるUnityエンジニアの方は多いのではないでしょうか。そうであれば自身の履歴書に「ゲーム製作の統括業務経験あり」と書いて積極的にアピールしましょう。
Unity案件単価の例
フリーランスのUnityエンジニアにはどのような業務が発注されるのでしょうか。案件の単価などを紹介します。
新規のVRコンテンツ開発、月65万円
東京都の会社が、新規のVRコンテンツ開発に携わるフリーランスのUnityエンジニアを探しています。報酬は月65万円です。必須スキルはUnityで開発した経験です。
3DアクションRPGの設計~開発、月75万円
こちらの案件はスマホ向けゲームアプリの設計から開発までの業務です。実際のプログラミング業務は少なく、それよりは他のエンジニアが快適に作業できるようにゲームツールやテストツールなどの作業環境を整えたり、プロデューサーたちの企画案を実現可能な工程に落とし込んだりする仕事が求められます。
手間がかかる仕事ですが、報酬は月75万円と高価格になっています。求められるスキルはUnityを用いた開発業務2年以上、3Dゲーム開発経験、リードプログラマ経験などです。
まとめ
UnityスキルはC#エンジニアの特殊技能ととらえることができます。そしてその特殊技能は、さまざまな業界の企業が求める付加価値が高い技能なのです。
コンピュータが3Dの表現方法を獲得し、ヘッドマウントディスプレイでVR技術が身近になったことで、私たちがこれから実現できることの可能性は大きく広がっています。
Unityエンジニアは、私たちの未来をより豊かにする可能性を持った職業と言えるでしょう。